SpecialContents vol.29 もしも、ある日突然、断水したら?

ライフラインの中でも「水」は、地震や台風などの自然災害で供給機能に問題が生じると、
復旧までに特に時間がかかりやすく、近年では老朽化した水道管の破損による断水も問題になっています。
また、雨量が少ない夏場は特に節水を心がけたいもの。
そこで今回は、断水が起きたときの過ごし方や復旧時の注意点、節水術などをご紹介します。

断水したときの過ごし方

断水すると、それまで何気なく蛇口をひねって使用していた「水」の大切さに気付きます。
命をつなぐために摂取するのはもちろんですが、
健康で文化的な暮らしを維持するためには、
実はその何倍もの量の「水」を消費しているのです。
写真「水の摂取 イメージ」

どんな時に断水する?

ひとたび巨大地震が発生すると、ライフラインが復旧するまでには何日もの時間を要します。一例として東日本大震災では、被災地全体の完全復旧までに、電気の9日に対して、ガスは55日、水道90日もかかっています。
ちなみにマンションの断水の原因は、給水設備の故障よりも電気系統のトラブルの方が多くなっています。また、マンション周辺の水道管が老朽化して漏水を招き、工事のために周辺一帯が数時間から数日間断水することも。

写真「ライフラインの復旧 イメージ」

こうした災害やトラブル以外に、夏場はまれに、渇水による計画的な断水が行われることもあります。

断水が解消した直後に水道を使うのはNG!

断水してしまったり、工事などでこれから断水することが分かったら、まず家中の水道の蛇口を閉じます。洗濯機や食洗機、貯湯タンクに接続している蛇口も忘れずに。もし閉め忘れたまま断水し、そのまま使用すると、機器が破損する原因になることがあります。
断水が解消したら、キッチンまたは洗面台の蛇口から水を出し、濁った水が出なくなるのを確認してから機器やトイレ(ウォシュレット)を使ってください。

断水時、状況別の過ごし方

■トイレ

タンクレスのトイレは、電気が止まると使えなくなりますが、バケツなどに水を用意しておいて、使った後に水を流せば汚物を流すことができます。普通のタンク式の場合、断水してから1回目の洗浄は水を流せますが、2回目からは同様にバケツなどを使って便器に直接水を流すことで対応が可能です。

どちらの場合も、トイレットペーパーは流さずに可燃ごみとして捨てます。

写真「バケツに水を用意する イメージ」

水道水以外の水(お風呂の残り湯や、くみ置きした水など)をタンクに溜めてから流すと、パッキンを痛めて後々水漏れの原因になったり、ウォシュレットのつまりの原因になることもありますので避けてください。
※地震による断水の場合、配管が破損していることも考えられるので、水を流さないでください。

マンションによっては、各住戸に簡易トイレを配布しているケースもあります。最近では、管理組合で備蓄している場合もあるので確認しておくと良いでしょう。
3日~1週間程度の使用を想定し、家族の人数分の簡易トイレを購入しておくのも手ですが、長期化に備えるなら既存トイレを災害時用のトイレとして活用するか、簡易トイレを手づくりするほうがコストがかかりません。

【簡易トイレの作り方】

◯ケース1

既存の水洗トイレが排水できなくなった場合に、その便器を利用して簡易トイレを作ります。

写真「既存のトイレにポリ袋をかけて使用する」
≪材料(1~数回分)≫

ポリ袋30~45リットル程度のもの2枚~、新聞紙適宜

≪作り方≫

便座を上げ、1枚目のポリ袋で便器をすっぽりと覆います。
2枚目のポリ袋を便座の上からかぶせ、細かくした新聞紙を入れます。

≪使い方≫

ポリ袋をかぶせた便座に座って用を足します。
使用後は内側のポリ袋を交換します。

◯ケース2

箱などを便器代わりにして、持ち運べる簡易トイレを作ります。

写真「箱やバケツをトイレ代わりにする」
≪材料(1~数回分)≫

バケツまたは段ボール箱、
ポリ袋30~45リットル程度のもの2枚~、新聞紙適宜

≪作り方≫

バケツまたは段ボール箱の内側にポリ袋を2重にかぶせ、
細かくした新聞紙を入れます。

≪使い方≫

バケツまたは段ボール箱をまたいで用を足し、
使用後は内側のポリ袋を交換します。

■入浴

水を大量に使うため、断水すると基本的には入浴はできないので、代わりに水でしぼったタオルで体を拭きます。
頭髪は、水でしぼったタオルで拭くだけでも多少の汚れは落とせますが、揮発性の高い薬品で作られたドライシャンプーで洗ってタオルで汚れを拭き取るか、拭くだけで汚れやベタつきなどを取ることができるシャンプーシートなどの製品を使うとよりスッキリするのでオススメです。どちらもドラッグストアや介護用品店などで手に入ります。

写真「入浴 イメージ」

■洗濯

水を大量に使うため、断水すると基本的には洗濯はできなくなりますが、浴槽に入浴前の水を溜めておけば、手洗いや、衣類の部分洗いなどに利用することができます。ただし、残り湯で衣類を洗濯すると生乾き臭の原因になりやすいので、避けたほうが無難です。

写真「浴槽の水 イメージ」

■野菜・食器

食事をした後に断水した場合は食器をティッシュなどで拭きとっておきます。再使用する際や使っていない食器を使う際には、熱に強い食品用ラップアルミホイルなどで食器を覆ってから料理を載せ、食べ終わったら取って捨てます。

写真「食後の食器 イメージ」

料理する際、野菜の汚れはペーパータオルなどで落とします。キャベツやレタスなどの結球する葉物は、丸くなった後に芯の部分(内側)から新しい葉が育ってくるので、内側は洗わずに食べても問題はありません。

写真「レタス イメージ」

【水を使わずに作れる料理2種】

素材の水分を活かし、水を使わずに作れるレシピです。
非常時ならずともリピートしたくなる味をぜひお試しあれ♪

ポイント
ポイント

飲食用以外の「水」も備蓄すると安心

断水してから復旧するまでは、備蓄しておいた「水」が頼りになります。
備蓄の目安量は「大人1人・1日あたり、3リットル」と言われますが、それは飲食のための量で、ほかにも私たちの生活にはたくさんの水が必要です。
写真「備蓄品 イメージ」

飲食以外に必要な「水」は……

一日の中で私たちは、飲食以外に、入浴・トイレ・洗顔・歯磨き・手洗い・洗濯・料理の食材洗い・食器洗いなどで「水」を使っています。

最近では、多くの新築マンションが共用部分に防災備蓄倉庫を設置したり、入居者のための防災備蓄品を用意するようになりました。その中には飲料水はありますが、生活用の水は含まれていないことがほとんど。

大規模な震災などで断水してしまった場合を除くと、例えば断水していない隣町のホテルに宿泊したり、コインランドリーを利用したりすれば代替することもできますが、断水した時に自宅でいつもと変わらずに過ごすためには、生活用の水も備蓄しておく必要があります。

写真「防災備蓄倉庫 イメージ」

水道の水を保管する方法

水道水をくみ置きする際は、清潔でフタのできる容器に口元いっぱいまで水を入れます。空いたペットボトルを良く洗って再利用するのが手軽ですが、注ぎ口に直接口をつけて飲んだものは雑菌が繁殖している可能性が高いので使用を控えてください。

写真「ペットボトルの水を飲む イメージ」

水道水に含まれる消毒のための塩素は、時間が経つとなくなっていきます。すると水の中にが生えてきてしまうため、くみ置きした水の保存期間は、直射日光の当たらない常温の場所で保管した場合3日程度冷蔵庫なら10日程度となります。浄水器を通した水は、塩素による消毒効果がなくなるため、毎日くみ替えが必要です。
水をくみ替える際、古い水は捨てずに、掃除や洗濯、植木の水やりなどに無駄なく使用しましょう。

水を購入して保管しておく

一般に販売されている水にも保存期間があり、コンビニエンスストアやスーパーなどで手に入るものは3年、長期保存を売りにした商品は5年が保存期間の主流になっています。

ウォーターサーバー用でよくある1ガロン(約12リットル)の水は、一度にたくさん保存しておけるので、飲食用はもちろんですが生活用の水としても備蓄しておくと便利です。こちらもメーカーによって保存期間が違うので、購入する際には確認を。

写真「保存する水 イメージ」

断水時だけじゃない!
エコ&財布にも優しい、節水術

大切な水をできるだけ少ない量で活用するということは、エコなだけでなく、水道代の節約にもつながります。

状況別!節水術

節水の基本は、水を流しっぱなしにしないことと、水を再利用することに尽きます。
家庭で1番、たくさん水が使われているのは「風呂」で40%、続いて「トイレ22%、「炊事17%、「洗濯15%、「洗面・その他6%(東京都水道局 平成24年度一般家庭水使用目的別実態調査より)。小まめに蛇口を閉めるだけでも意外と簡単に節水することができますから、この夏は節水に挑戦してみては?

■キッチン

蛇口はこまめに開け閉めを。野菜などを流し洗いして食事の準備をすると1日約81リットルの水を使いますが、ため洗いでは約37リットルの使用で済み、約44リットルの節水に。

食器洗いは、まず油汚れを古紙などで拭き取ってから。また洗剤は、たくさん使うと洗い流す水もたくさん必要になるので、適量を心がけます。

流し洗いでは1日約120リットル必要ですが、ため洗いつけ置き洗いなら約37リットルで済み、約83リットル節水できます。

写真「食器を洗う イメージ」

■洗面所

歯磨きする際、水を流しっぱなしにすると1回につき約6リットルの水を使いますが、コップにくんだものを使うとコップ3杯(約0.6リットル)程度の水で済み、5リットル以上の節水に。

洗顔は、水を流しっぱなしにすると1回につき約12リットル、洗面器に水をくんだもので洗えば1人2杯(約6リットル)と半分の水量で済みます。

写真「歯磨き イメージ」

■お風呂

シャワーを流しっぱなしにすると、3分間約36リットルの水が流れます。身体や髪の毛は、なるべく洗面器に湯をくんだもので洗いましょう。

残り湯は一般家庭で約180リットル。洗濯は本洗いだけでも30~50リットル程度の水を使いますから、この半分の約90リットルを洗濯や掃除、散水などに利用すると仮定すれば、約90リットルの節水に。残り湯を1回目のすすぎに使用できる洗濯機で洗えば、さらに節水することができます。

写真「シャワー イメージ」

■トイレ

トイレの洗浄レバーは通常、大用と小用があるので、使い分けましょう。また、2度流しをやめるだけで1回につき約6~10リットル節水することができます。

大用に流す水は、従来型のタンクなら11~15リットルですが、節水型タイプは約4~10リットル約3割少なくなっています。

写真「トイレの洗浄レバー イメージ」

▼【参考】東京都水道局「水の上手な使い方」

http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/kurashi/shiyou/jouzu.html

▼【参考】熊本市「家庭用節水ハンドブック」

http://www.kumamoto-waterlife.jp/base/upload/p561271_127_21家庭用節水ハンドブック.pdf

まさに、"備えあれば憂いなし"。断水時に役立つ節水の情報は、普段の生活でも活かせるものばかりです。賢く備えて、いざという時にもいつも通りに過ごしたいものですね。

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